婦人科/婦人科検診

子宮・卵巣がんとは…

子宮子宮がんは今、日本で増加傾向にあります。子宮がんには子宮頚部がんと体がんがあります。以前は子宮がんのうち、頚部がんが多く占めていましたが、近年は体部がんの割合が高くなってきています。頚部がんは、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が関与しています。一方、体部がんは、女性ホルモンのエストロゲンとの関係が深く、閉経後の人、妊娠経験がない人、肥満、糖尿病、高血圧の人がなりやすいといわれており、なりやすいタイプがまったく異なります。卵巣がんも増加傾向にあり、40〜50代に多くみられる病気です。 検査をすることで、早期発見、早期治療につながり、今後の人生が大きく左右されます。定期的に検診を受けることが大切です。

子宮頚がん

子宮頚がんは検診により進行がんを防ぐことができます。

頚がんには検診が非常に有効で、進行がんを防ぎ死亡を減らす効果が証明されています。多くの先進国ではほぼ例外なく、子宮頚部細胞診による検診が行われています。欧米での検診率は高く、たとえばアメリカでは、18歳以上の女性の86%が過去3年以内に1回以上検診を受けています。(2002年)。一方、日本では過去1年以内に受けた女性は15%足らずにとどまっています。

 

子宮頚部細胞診によってがん細胞をみつけます。

細胞診は、子宮頚部の表面から綿棒などでこすりとった細胞を顕微鏡で調べます。受診者の約1%の方が精密検査が必要となります。がんの発見率は約0.06%(2002年)です。精密検査が必要な方の中では約10%弱と非常に高率にがんが発見されます。これらのがんの60%以上は粘膜の表面のごく一部だけにとどまる上皮内がんなど、ごく早期のがんで、その大半は子宮を温存した治療が可能です。早期発見のおかげです。

子宮体がん(内膜がん)

体がんは症状があったら病院を受診することが重要です。

体がんに対する検診方法としては、体部細胞診が一般的ですが、体部細胞診によって体がん死亡を減らせるかどうかは、はっきりしていません。体がんは、病状が進行していない早期の段階で出血をきたすことが多く、不正性器出血での発見が約90%といわれています。少量でも出血があれば、すぐに医療機関を受診していただければ早期発見が可能です。下着にしみが付くことや下腹部痛も出血に次ぐ症状です。

子宮頚がんと子宮体がんの違い
子宮頚がん 子宮体がん(内膜がん)
Q. 子宮のどの場所にできるのですか?
子宮頚がん 子宮体がん(内膜がん)
子宮の入口である頚部の上皮(表面の細胞)から発生します。 子宮の奥にあたる体部のうちの内膜から発生します。内膜は生理の時にはがれてしますので、閉経前の女性には体がんの発生は多くありません。
Q. 何歳ぐらいの人に多いのですか?
  • 30歳代から40歳代で多く診断されています。(10万人あたり30〜40人)
  • 40歳以上では年々減っていますが、20歳代から30歳代では逆に増えています。
  • 1年間に約7,000人が診断され、約2,000人が亡くなっています。
  • 50歳代から60歳代で多く診断されています。(10万人あたり15〜20人)
  • 以前は少なかったのですが、全ての年齢層で増えています。
  • 1年間に約5,000人が診断され、約1,000人が亡くなっています。
Q. どんな人がなりやすいのですか?
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が発がんと強い関係があります。
  • また妊娠・出産回数が多い方ほどなりやすいといわれています。
  • 喫煙でもリスクが高くなります。
  • 閉経以降にリスクが高くなります。また、ホルモン補充療法を受けたり、子宮内膜増殖症がある方などでなりやすいといわれています。
  • 不規則な月経の方、無月経や排卵異常のある方がなりやすいといわれています。
  • 肥満、高血圧、糖尿病のある方ではリスクが高くなります。